「世帯収入は平均より多いはずなのに、教育費が貯まる気がしない…」共働き世帯の方からよく聞くお悩みです。教育費は共働き家庭にとって、住宅費と並ぶ大きな出費。子どもの進路によっては1人あたり1,000万円を超えることもあり、計画的な積み立てが欠かせません。
この記事では、共働き・子育て世帯のファイナンシャルプランナー(家計や資産のアドバイスをする専門家)として、教育費の目安、積み立て方法の比較、年代別の戦略、そして注意点までやさしく整理してお伝えしますね。
教育費はいくら必要?共働き世帯が知っておきたい目安
まずは「ゴール」を知ることから始めましょう。教育費は進路によって大きく変わるため、ざっくりとした全体像をつかんでおくことが大切です。
幼稚園から大学までの教育費の目安
幼稚園〜大学までの教育費目安(参照:文部科学省|子供の学習費調査・日本政策金融公庫|教育費負担の実態調査をもとに筆者作成)
文部科学省の調査によると、幼稚園から高校までの15年間でかかる学習費総額は、すべて公立で約574万円、すべて私立で約1,838万円となっています(参照:文部科学省「令和3年度子供の学習費調査」、2022年)。
さらに大学費用として、国立大学なら4年間で約243万円、私立文系で約408万円、私立理系で約551万円が目安です(参照:日本政策金融公庫「教育費負担の実態調査」、2021年)。
つまり、子ども1人を「すべて公立+国立大学」で進学させた場合でも800万円超、「すべて私立+私立理系大学」なら2,300万円超になる計算です。共働きで子どもが2人いるご家庭なら、世帯としての教育費総額は驚くほど大きくなりますね。
「すべて貯める」必要はない理由
ここで安心していただきたいのは、上記の金額をすべて事前に準備する必要はないという点です。多くの費用は毎月の家計から支払う「フロー」の支出でまかなえます。
貯めておきたいのは、家計の負担が一気に重くなる「大学進学時の費用」が中心。目安としては、1人あたり300万〜500万円を高校卒業時までに準備できると安心です。
共働き世帯におすすめの教育費積み立て方法4選
教育費積み立て方法4選 特徴比較(筆者作成)
教育費の積み立てには複数の選択肢があります。それぞれの特徴を理解し、家計に合う方法を組み合わせるのがコツですよ。
①児童手当をまるごと貯める
児童手当は0歳から高校生年代まで支給される、国からの大切な「教育費の種」です。2024年10月の制度改正で所得制限が撤廃され、支給期間も高校生年代まで延長されました(参照:こども家庭庁「児童手当制度のご案内」、2024年)。
第1子・第2子は0〜3歳未満が月15,000円、3歳〜高校生年代が月10,000円。すべて貯めた場合、1人あたり約234万円になります。これを使わずに別口座へ自動で振り分けるだけで、教育費のベースができあがりますね。
メリット:誰でも実行しやすく、確実に貯まる
注意点:銀行預金のままだとインフレに弱く、増えにくい
②学資保険で「強制的に」備える
学資保険は、毎月決まった保険料を払い込み、満期に教育資金として受け取る仕組み。契約者(親)に万が一のことがあれば、以後の保険料が免除される保障機能もあります。
メリット:強制力があり、保障も付く
注意点:返戻率は102〜105%程度と低く、途中解約すると元本割れのリスクあり。インフレにも対応しにくい
③新NISAでコツコツ運用
2024年から始まった新NISA(少額投資非課税制度)は、運用益が非課税になる長期投資の強い味方。つみたて投資枠(年120万円まで)で全世界株や全米株のインデックスファンドを15〜18年間積み立てれば、過去の実績では年3〜5%程度のリターンが期待できるとされています。
メリット:非課税で長期運用でき、インフレにも強い
注意点:元本保証ではなく、短期では値下がりリスクあり。使う直前の暴落に備えて出口戦略が必要
④定期預金・財形貯蓄で安全資金を確保
大学受験直前の高校2〜3年生で必要になる「直近で使う資金」は、元本割れリスクのない預貯金で確保するのが基本。給与天引きの財形貯蓄を使えば、手をつけにくい仕組みも作れます。
共働き世帯の年代別・教育費積み立て戦略
年代別 教育費積み立て戦略(筆者作成)
同じ300万円を貯めるにも、子どもの年齢によって最適な方法は変わります。「いつまでに・いくら・どこで」貯めるかを設計していきましょう。
0〜6歳:NISAを軸に長期運用
大学入学まで12年以上ある時期は、複利効果(利息が利息を生む効果)を最大限活かせる絶好のタイミング。新NISAのつみたて投資枠で月2〜3万円を積み立てるのがおすすめです。
児童手当は別口座に貯金しつつ、余裕資金の一部をNISAに回すイメージですね。
7〜12歳:運用と貯蓄のバランスを取る
小学生時代は教育費がまだ抑えやすく、貯めどき。中学受験を予定するなら、塾代として年50〜100万円が追加でかかるため、フロー支出にも余裕を持たせましょう。
運用は継続しつつ、目標額の半分を超えたあたりから一部を預貯金へシフトする準備を始めます。
13〜18歳:守りの資産配分へ
高校入学以降は、運用商品の値下がりリスクから資産を守るフェーズに入ります。NISAで貯めた資金を計画的に売却し、預貯金に移しておくと安心ですね。大学受験までに、必要額の70〜80%は元本確保型にしておくと、急な相場変動にも慌てずに済みます。
共働き世帯が見落としがちな教育費の落とし穴
「収入が多いから大丈夫」と思いがちな共働き世帯ほど、注意したいポイントがあります。
奨学金・教育ローンも選択肢に
教育費はすべて親が用意しなければならない、と思い込む必要はありません。日本学生支援機構の奨学金や、国の教育ローンも視野に入れておきましょう。ただし、子どもが返済を負う「貸与型奨学金」は、社会人スタートの負担になる点も理解しておきたいですね。
老後資金とのバランス
教育費を優先しすぎて、ご自身の老後資金が不足するご家庭も少なくありません。iDeCo(個人型確定拠出年金)やNISAの成長投資枠を活用し、教育費と老後資金を「並行して」準備する設計が安心です。
共働きならではの「収入ダウン」リスク
育休・時短勤務・転職などで一時的に収入が減る局面はどの家庭にも訪れます。フルタイム共働きの家計を前提に固定費を組むと、いざというとき苦しくなりがち。教育費の積立額も、収入の70〜80%で生活が回る設計にしておくと無理がありませんよ。
まとめ:共働きの強みを活かして無理なく教育費を準備しよう
共働き世帯の最大の強みは、「2人分の収入で貯蓄スピードを上げられる」こと。児童手当の貯金、新NISAでの長期運用、預貯金での安全資金確保、この3本柱を年齢に応じて組み合わせることで、無理なく教育費を準備できます。
大切なのは、ご家庭の進路希望・収入・他の貯蓄目標(住宅・老後など)を総合的に見ながら、わが家に合った配分を決めること。「なんとなく不安」を「数字で見える計画」に変えていきましょうね。
おうちCFO FP相談では、ご家庭の家計全体を見渡しながら、教育費の積み立て計画を一緒に作るサポートを行っています。お気軽にご相談ください。