「共働きでそれなりに収入はあるけれど、NISA(少額投資非課税制度)は夫婦どちらの名義で始めるべき?」「夫婦で非課税枠を使い切る方法ってあるの?」——そんな疑問をお持ちではありませんか。実はNISAは共働き夫婦こそ最大限に活用できる制度なんです。
2024年から始まった新NISAでは、1人あたり年間360万円・生涯1,800万円までの非課税投資枠が設けられました。これを夫婦2人で使えば、年間720万円・生涯3,600万円という大きな枠になります。今回は、共働き家庭がNISAをかしこく活用するための具体的な方法を、注意点とあわせてお伝えしますね。
共働き夫婦がNISAを活用するメリットとは?
新NISA:単身と共働き夫婦の非課税枠比較(筆者作成)
まずは、共働き世帯がNISAを使うことでどんなメリットがあるのか整理してみましょう。シングルインカム(片働き)家庭と比べて、共働きならではの強みがいくつもあります。
1. 非課税枠が「2人分」使える
新NISAの年間投資枠は1人あたり360万円(つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円)です。これを夫婦で活用すれば、年間720万円まで非課税で運用できます。生涯投資枠も1人1,800万円ですから、夫婦合計で3,600万円。教育費・住宅ローン繰上返済資金・老後資金など、ライフイベントごとに目的を分けて運用できる規模ですね。
2. リスク分散がしやすい
夫婦それぞれが別の運用方針を持てるのも共働きの強みです。たとえば「夫はリスクを抑えた全世界株式インデックス、妻はやや積極的に米国株や新興国株を加える」といった具合に、運用商品を分散できます。1人の口座に集中させるよりも、夫婦で分けたほうが心理的にも資産配分のバランスを取りやすいですよ。
3. 収入が途絶えても続けやすい
育休・産休、転職、介護による離職など、ライフイベントで収入が一時的に減ることもあります。共働きで夫婦それぞれがNISA口座を持っていれば、どちらかの積立を一時停止してもう一方は継続する、といった柔軟な対応ができますね。
夫婦のNISA枠をどう配分する?具体的な3パターン
共働き夫婦のNISA配分パターン比較(筆者作成)
「2人で720万円の枠があると言われても、実際にどう配分すればいいの?」というのが本音だと思います。ここでは年収や家計状況に応じた3つのパターンをご紹介します。
パターン1: 収入比に応じて配分する(バランス型)
たとえば夫の手取りが月35万円、妻の手取りが月25万円の家庭。家計の積立余力が月10万円なら、夫6万円・妻4万円といった具合に収入比で配分する方法です。それぞれの「自分のお金から拠出している」という感覚が保てるので、夫婦間で不公平感が生まれにくいですね。
パターン2: 片方を上限まで埋める(集中型)
「とにかく早く非課税枠を埋めたい」「片方の収入は生活費、もう片方は丸ごと投資に回せる」というご家庭は、まず片方の枠を年間360万円まで埋めるという方法もあります。ただし、後述する「贈与税」の論点には注意が必要です。
パターン3: 同額ずつ積み立てる(イコール型)
シンプルにわかりやすいのが、夫婦同額を積み立てる方法。たとえば夫婦それぞれ月5万円ずつ、合計10万円をつみたて投資枠で運用するパターンです。家計管理がシンプルで、夫婦どちらも同じペースで資産が増えていく安心感があります。
注意点: 名義と資金源は一致させる
どのパターンでも気をつけたいのが、「NISA口座の名義人と、投資資金の出どころを一致させる」こと。夫の収入から妻名義のNISAに毎年110万円を超えて入金すると、贈与税の対象になる可能性があります(参照:国税庁「贈与税の計算と税率」)。家計から拠出する場合も、「夫婦それぞれの収入から自分名義の口座に積み立てる」流れを意識しておくと安心ですね。
教育費・老後資金…目的別のNISA運用戦略
共働き家庭の場合、お金の目的が複数同時に発生します。教育費、住宅、老後資金など、目的ごとに運用方針を変えるのがおすすめです。
教育費は「使う時期」から逆算する
お子さんの大学入学までの期間が10年以上あるなら、つみたて投資枠で全世界株式や先進国株式のインデックスファンドを積み立てる選択肢があります。一方、入学まで5年を切ったら、徐々に現金や個人向け国債など値動きの安定した資産に移していくのが定石ですね。
大学進学時に必要な資金は、国公立で約500万円、私立文系で約700万円、私立理系で約850万円が目安とされています(参照:日本政策金融公庫「教育費負担の実態調査結果」、2021年度)。NISAだけでなく、児童手当の活用や学資保険との組み合わせも検討してみてください。
老後資金は「長期・分散・低コスト」が基本
老後資金は20〜30年の長期運用が前提になります。共働き夫婦なら、iDeCo(個人型確定拠出年金)との併用も視野に入れたいところ。iDeCoは掛金が全額所得控除になるため、共働きで2人とも所得税・住民税を払っている家庭ほど節税効果が大きくなります。
「使うお金」と「増やすお金」を分ける
忘れてはいけないのが、生活防衛資金の確保です。共働きでも、夫婦どちらかが病気で働けなくなる可能性はゼロではありません。生活費の6か月〜1年分は預貯金で確保したうえで、余剰資金をNISAに回すのが安心ですね。
共働きNISAで失敗しないための注意点
非課税枠が大きい分、使い方を間違えるとリスクも大きくなります。ここでは共働き家庭が特に注意したいポイントをお伝えします。
短期で売買しない
新NISAは売却すると翌年に非課税枠が復活する仕組みですが、これを「短期売買OK」と捉えるのは危険です。長期保有が前提のインデックス投資が活きるのは、20年以上の長期で見たとき。共働きで時間がない方こそ、ほったらかしできる積立投資がおすすめですよ。
商品選びは「コスト」を最優先に
つみたて投資枠で選べる商品は金融庁の基準を満たしたものに絞られていますが、それでも信託報酬には差があります。長期で持つほどコストの差は資産額に大きく響くので、信託報酬0.1〜0.2%台のインデックスファンドを軸に選ぶと良いでしょう。
夫婦で運用方針を共有する
意外と見落としがちなのが、夫婦間のコミュニケーション。「気づいたら相手が大きな金額を運用していた」「相場が下がったときに方針がバラバラで揉めた」というケースもあります。年に1回はお互いの運用状況を共有する時間を作りたいですね。
まとめ|夫婦で非課税枠を活かして家族の未来を守ろう
共働き家庭にとってNISAは、年間720万円・生涯3,600万円という大きな非課税枠を活用できる強力なツールです。ただし、名義と資金源の一致、目的別の運用、生活防衛資金の確保など、押さえておくべきポイントもいくつかあります。
「我が家の場合、どう配分すればいいかわからない」「教育費と老後資金、どちらを優先すべき?」と迷ったら、ぜひ一度、家計全体を見直してみてくださいね。おうちCFO FP相談では、共働き・子育て世帯の家計設計を丸ごとサポートしています。お気軽にご相談ください。